「クラウド中心」の方針を打ち立てたものの、銀行に不可欠な「高い安定性」が大きな課題
近年、銀行業界においても、顧客接点となるシステムを中心に、アプリケーションを高頻度でリリースするという傾向が一般的になってきました。アクアシステムズの顧客である国内銀行業様も、スピードと柔軟性の高いクラウドを中心とする方針を打ち立てることとなりました。
しかしながら、同行では、これまで基盤として利用していたオンプレミスの商用データベースは蓄積してきたノウハウで安定運用ができていたものの、移行先となるクラウド上のオープンソースソフトウェアのデータベース(OSS DB)についてはノウハウが不足するという問題に直面しました。
また同行では、先行してクラウド移行したシステムで障害発生を経験し、銀行業に求められる高い安定性を保つには、体制強化に設計・運用を強化する必要性を強く認識するようになりました。そして、その対策として、「クラウド上のOSS DBでの設計の標準化」と「構築・運用の現場で発生する技術課題に対応できる体制の構築」について検討を進めることにしました。
標準化による品質底上げと、技術支援体制による高品質追求で、クラウド上でも「安定運用」を実現
同行では、顧客エンゲージメントを向上するために、頻繁にシステム、アプリケーションをリリースしており、その数も年々増加傾向にあります。そのため、今後これら多数のシステムに共通して利用できる「標準的なデータベース設計」を定義する方針とし、アクアシステムズとともに推進することにしました。定義作成にあたっては、幅広いシステムに適用でき、かつ、設計業務が効率的に進むよう、設計内容を「どのシステムでも必ず決まった内容にするもの」、「いくつかの選択肢と選択基準を示して適切なものを選定するもの」、「定義が難しく設計の考え方を示してシステムごとに決めるもの」の3種に分けるというアクアシステムズの推奨を採用しました。
また、データベースの設計やパラメータのなかには、システムの特徴や要件に応じて、経験者でなければ最適な検討ができないものもあります。そのようなケースも想定し、プロジェクトがシステム設計・運用を行う際に、必要に応じて、アクアシステムズのデータベースエキスパートから技術アドバイスを受けることができる体制も常設しました。
つまり、標準化することでシステムの品質を一定レベルに保ち、さらに、専門家からの技術アドバイスを受けることでコストを抑えながら更なる高品質を追求できるというのが同社の狙いです。そして、前述のとおり、標準の策定や専門家として技術アドバイスする役割については、クラウドでのデータベースソリューションに強いアクアシステムズに依頼することで、これら狙いをしっかりと実現できると確信しました。
多種多様で頻繁に変化するクラウドDB技術を持つエキスパートによる技術支援体制で、開発スピードが向上
同行が特に強くメリットを感じたのは「技術アドバイス体制を委託できること」です。年々進化しているクラウドでのデータベース技術は広く多様で数が多く、また、その変化も著しくスピーディ。専門性が高く、頻繁に変化する技術に対応できるデータベースエンジニアを自社で採用・雇用するのは容易ではありません。また、採用できたとしても、自社業務に直接関連しない新たなデータベーススキルまで広くキャッチアップし、獲得し続けることは非常に困難です。
アクアシステムズにリモート・非常駐型の技術支援体制を担ってもらうことで、このような悩みから解放され、同行のエンジニアは顧客体験向上につながるアプリケーション改善に集中し、開発スピードを上げることができました。品質向上以外のメリットも多く、データベース領域の動向や他社事例に関する情報提供を企画に生かしたり、勉強会で開発者がOSS DBの知識を増やすことにつながる等、今やアクアシステムズは同行にとって欠かせない存在になっています。
データ統合基盤の構築、データ活用とさらなる前進に向けた取り組みをスタート
クラウド上でのデータベース安定運用の実現を経て、同社では今後、データ統合基盤の構築と、新規ビジネス展開のためのデータ活用に注力するという方針を打ち出しました。分析用データ基盤の導入やNoSQL利用によるユーザ体験の向上など、アクアシステムズの技術支援サービスを活用し、さらなる前進に向けて次の一手を打っていこうとしています。